データの見せ方で評判を上げる学校

受験サイトや受験情報雑誌の情報は大抵は的確な良い情報が出ています。

しかし、そこに出ている偏差値ですが、合格者平均偏差値ではなく、ボーダーラインの偏差値ですから、数字に専門家の主観も入って設定される性質上から、時折盛っている(?)、削っている(?)と思われる偏差値が出ているケースも見られます。

あと、どうしても誤解してしまうのが、合格者平均偏差値と入学者平均偏差値との違いなどです。

また、特進コースなどを創設して、特進コースの合格者平均偏差値をその学校全体の偏差値のように全面的に出す私立学校が増えました。でも特進コースはその学校のごく1割程度で、9割の生徒は特進コースより随分低い偏差値です。

そのような見栄えよくするデータに騙されて、「優秀な」学生と誤解して採用すると・・という企業の採用担当者の嘆きも聞こえてきます。

では、下記に具体的に説明します。

合格者平均偏差値と入学者平均偏差値の違いを利用して学校の評判を上げるケース

合格者平均偏差値は、業者が合格した生徒の平均の偏差値をデータを使って割り出したデータです。ですから、その平均が50であった場合に合格者が100名いたとして、入学者が100名だった場合には、そのまま入学者の平均偏差値も50となりますが、入学者が20名だった場合には、上位から中位の合格者は、別の学校に入学すると考えるのが一般的なので、その学校の入学者偏差値は、50以下(合格者偏差値の散らばり具合となりますが・・)おそらく45~47程度のところ数字がはじき出されます。ですから、すべり止め校の偏差値が67と出ても、実際に入学している生徒が偏差値60前後であることは十分に考えられます。

ここで気を付けなければならないのは、合格者平均偏差値を釣り上げて、学校の評判をよくするために全力をつくしている私立学校が存在していることです。そして、それを指摘する媒体はほとんどなく、保護者や生徒や学校側等の関係者は、自分の関わる学校の評判が高くなることを歓迎するので、この数字に踊らせられることも少なくありません。例えば、他校のすべり止めと位置付けてもらえるように、併願推薦確約を多めにばらまきます。中には中学校の進路指導担当に頭を下げて併願受験をたくさんの優秀な生徒にしてもらうように営業に回る学校もあります。そういう学校は、例えば、募集100名に対して、受験者が1000名もあり、合格者も950名だすというようなことも少なくありません。ようするに850名は入学を辞退するのですが、この人たちの偏差値が合格者平均偏差値を釣り上げるのです。

また、募集100名のうち、推薦入試を50名行うと、一般入試の偏差値は50名の平均から出ます。そうすると、受験生1000名のうち、50名が推薦受験者として、950名の一般受験者として、900名を合格させて、850名は入学を辞退しますので、平均合格者偏差値を出すとさらに偏差値はさらに上がります。おそらく入学してくるのは、下位50名の層ですから推薦入試を定員の半分程度のギリギリまで取り入れ、一般入試の合格者平均偏差値を上げる工作もできます。

ちなみに、第一志望が多い学校で推薦入試の枠を絞っていて、コース別の募集を行っていない学校の合格者平均偏差値は低めに出ます。そのことも踏まえて学校の難易度を見る必要があります。

〇特進コースなどを作り、学校全体の偏差値が上がったと思わせるケース

これは、例えば、以前まで定員300名で合格者平均偏差値55程度だった大学の付属高校に、特進コースを創設します。特進コースの定員は30名とします。進学コースは240名、体育コースは30名として入学試験を行います。すると特進コースは合格者平均偏差値は60となり、進学コースの合格者平均偏差値は55となり、体育コースの合格者偏差値は50となりました。この時に、受験サイトや情報誌には、この高校の合格者平均偏差値は60と出ることがあります。なぜなら、偏差値の高い高校から順番に検索結果が出るからです。また、受験情報誌もできるだけ有利な情報を出したいからです。でも、実は、この高校の実態は何も変わっていません。なぜなら、もともとの平均偏差値が55だったわけですから、上位1割の合格者は60程度の偏差値があったことが想像できるわけです。また、下位の合格者の偏差値は50程度であったことも予想できるわけですから、実態は何も変わっていないのに、細かくコース別にすることで、上位合格者だけの偏差値が浮き彫りになった状態を合法的に作り上げている例です。そして、この特進コースに推薦入試を導入したり、奨学金制度を導入したりしてプレミア感を持たせ、このコースの偏差値をできるだけ上げきることで、見栄えをよくしてOBや在校生、受験生、保護者を勘違いさせ評判を上げている学校も少なくありません。

〇やたらと多い高偏差値の特進コース設置高校・・・

受験情報誌を見ると、ここ数年急激に進学校として改革し、特進コース等を創設し、偏差値が急上昇している高校が多発しています。まず疑問なのですが、偏差値の性質上、そんなに高い偏差値の高校が多いこと自体がおかしいのです・・偏差値の高い高校は一握りのはずなのですが・・。次の疑問なのですが、偏差値が70前後ある急上昇したある高校なのに、大学合格実績を見ると一番多く合格している大学が中堅校だったりすることがあります。仮に本当に偏差値70前後の生徒が入学し来たのに・・・卒業するときは中堅大学に大量に合格者を出す実績が・・・これって・・・?、本当に偏差値70程度の生徒が入学してきたの?それとも高校の指導力が不足しているのですか?なんともなぞの高校が出没しています。とにかく、特進コースとか国公立コースとか、医学部コースとかに騙されないで、その高校の大学合格実績を見て、どの大学に多く合格しているのか確かめてみると、卒業時のイメージがつき、名ばかりの特進コースでないことがわかります。確認してみてください。ちなみに、こんな数字マジックが起きる原因は、業者テストが廃止されたり、相対評価が絶対評価に変わったりとした時の文部大臣の改革が原因です。いい改革だったのか、それとも迷惑な改革だったのか・・・検証が必要です。

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